「堺市ビジョン2023」(市民からの政策提言)の基本姿勢「市民の税金は市民のために使う」
① 「財政危機脱却プラン」などで廃止・縮小した施策を復元します。
堺市の財政状況は、現市長が「財政危機宣言」で強調した「住民サービスを削らなければ財政運営ができない」「基金も底をつく」状態ではなく、むしろ基金を大幅に積み増しています。(R14までの基金残高見通しは550~600億円で推移)。危機を強調して後退させた子育て・教育支援策などの市民サービスについてはすみやかに復元させ、さらに拡充をすすめます。
② 堺市民の多数が反対し、まちづくりにも影響するカジノ(バクチ場)誘致に反対します。
「カジノの是非は府民が決める『住民投票条例』の制定を求める直接請求署名」が法定数を超え、住みよい堺市をつくる会の市民アンケート(回答数8427件)でも60%以上の市民が「反対」であることなど、住民合意が得られていません。堺市として夢洲でのIR・カジノには反対の意見表明を行います。
③不要不急の事業は中止または見直します。
体力のある大企業への行き過ぎた減税(19億円以上)をやめ、暮らしや命を守る施策に充てます。
見通しの立たないカジノ頼みの堺ベイエリア開発(9億1400万円)はやめます。
SMIプロジェクト(都心ライン)は、都心エリア中心の計画であり、自動運転バスの導入は概算でも10億円を必要としています。公費の活用は、堺市全域の公共交通を充実するものに見直します。
5つの柱と政策
1)「子どもの視点で、子どもの育ちを支える」
住みよい堺市をつくる会の市民アンケートで、20歳代~50歳代の現役世代が望む「行政やまちづくりで力を入れてほしいこと」の圧倒的ナンバー1が、「子育て支援や教育環境の充実」です。明石市など先進的な他市の事例にも学んで、子どもの育ちを支え、子育て世代の定住をすすめるとともに、地域経済活性化政策としても重点的に取り組みます。
①子育て・保育
2019年に延期提案、所得制限を付けられた0~2歳の第2子保育料無償化は所得制限なしで実施します。また、2021年より半分に削られた保育教諭等充実費を元に戻します。保育士の処遇を改善します。
のびのびルームなど学童保育については、民間事業者への丸投げではなく、公的責任及び安定性・継続性が担保される運営体制とします。
②子どもの教育
小・中・高等学校における35人学級を堺市独自の措置として早急に実現します。過密状況がますます深刻となっている支援学校を新設します。小学校給食と2025年度実施の中学校給食の無償化、すべての学校施設のエアコン設置をすすめます。
子どもたちや教職員に過度な負担を負わせ、経済効率優先の見せかけの教育改革「新しい学校のあり方:学校群制度」は中止します。
全国学力学習状況調査などテスト結果重視の学力ではなく、心身共に健やかな発達保障の学校教育をめざします。
③子どもの貧困対策
就学援助の需給基準を生活保護基準の比率「1」以上に引き上げます。また、堺マイスタディ事業などの個別の学習支援事業を復活します。
④子ども医療費
高校卒業までの医療費について、現在1医療機関500円の自己負担を無償化します。
2)「誰ひとり置き去りにしない、安心安全に暮らせる」
①若者向け対策
若年単身者や18歳未満の子を扶養しているファミリー世帯(ひとり親世帯含む)への賃貸住宅家賃補助制度を創設します。
子育て世帯への負担軽減及び子どもの進路選択の幅を広げるために、泉北高速鉄道通学費負担軽減事業の復活を含め、通学定期券補助制度を創設します。
②介護・高齢者福祉
新型コロナウイルス感染症対策について、医療との連携充実を図り、感染によって酸素飽和度も下がっているような状態の独居高齢者や、ショートステイ入所中に陽性と判明した独居高齢者が速やかに入院できるようにします。
今後増え続ける介護ニーズに対する人材の充実は、各事業所の努力だけでは解消できません。堺市で働くことが魅力的な制度構築や、公的就職フェアーの開催などを行い、介護を受ける高齢者が必要な時に安全・安心な利用ができるようにします。
厚生労働省の審議会で次期介護保険改定に向けて、要介護2までの総合事業への移行や、ケアプラン利用者負担、福祉用具のプランニングの報酬見直しなどが論議されています。国に対し、介護保険利用を通して重度化を防ぎ、安全・安心に暮らせるよう積極的な改善・充実を要請します。
③障害者福祉
新型コロナウイルスに罹患し自宅療養が困難な障害者が隔離・療養できる場の確保をすすめます。また、感染拡大を防止するために、やむなく事業所を閉鎖した場合の減収を補てんし、障害福祉事業運営を支えます。
入所施設も含めた暮らしの場の整備拡充により誰もが安全・安心に暮らせる住みよいまちづくりをすすめます。
④貧困と格差の解消
憲法に保障された基本的人権に基づく生活保護制度の利用を促す広報活動を行います。また申請をためらう人に支援者が同行する活動を支援します。
生活保護申請に対して、扶養照会は行いません。
堺市における生活保護・住宅扶助基準を他の「一級地の1」地域と同様に40,000円(現行38,000円)とするよう国に働きかけます。
低所得者へのクーラー取り付け費用、夏期電気料金の補助を行います。
住民税申告者のうち非課税世帯への「非課税のお知らせ」の送付を復活します。
⑤市民のための公共交通
国に対し、国民の「移動権」を保障する法制度を整備し、財源をはじめ国の役割を明確にするよう求めるとともに、市民参加で「公共交通基本条例」の制定をすすめます。
「おでかけ応援制度」を障がい者や子ども、生活困窮者に適用拡大するとともに、乗り合いタクシーを拡充します。また、目的地直行型のデマンド交通システムを検討します。
「SMIプロジェクト(都心ライン)」は中止し、シャトルバスを事業者と市民の参加で利便性向上をすすめます。
「美原ライン」は実証実験の上、早期に実施し、区役所以遠地域への延伸を検討します。
⑥中小零細企業・商店街活性化
小企業、家族経営が地域に果たしている役割を評価し、新型コロナや物価高騰により打撃を受けている事業者の経営環境の改善と、事業承継への支援策を具体化します。
刃物をはじめとした伝統産業や、町工場に蓄積された技術の継承、人材育成を援助する施策をすすめます。
新規開業を応援する仕組みを拡充するとともに、空き店舗や空地の活用を促進します。
⑦ジェンダー平等
あらゆる場面や分野において、ジェンダー平等の視点で社会を変えていく市民の運動を支援します。
市役所の女性管理職登用を増やします。
⑧在住外国人が住みやすい対策
外国をルーツとする居住者に対する支援策として、労働者・家族や学校園での日本語教育の充実、日本語・母語指導や生活適応指導等を行える教育サポーターの配置、生活全般に係る相談を受けられる相談窓口の設置・拡充、多文化交流の場を増やす、などをすすめます。
⑨公契約条例
小規模企業振興基本条例を創設して地元零細業者を応援する姿勢を明瞭に示した上で、調達や公共工事において、堺市内の事業者に優先的に発注する仕組みを構築し、具体的な発注数を公表します。
3)「市民のいのちと健康を守る」
①感染症対策等、医療・公衆衛生体制の拡充
感染症対策について、総合医療センターや保健所等の人員体制を確保し、市独自の対策を行うとともに、PCR検査体制の充実や医療機関への支援に必要な財政措置を政府に強く要請します。
政府に対し、大阪府・市、関西広域連合、政令指定都市市長会などとも連携し、地方創生臨時交付金や、各種給付金、支援金、助成金などの継続実施を要請します。また、市独自の支援策を継続します。
②社会保障
国民健康保険の高すぎる保険料を、大阪府にも働きかけ下げていきます。また、資格証明書の発行を中止します。
③地域医療
入院ができないコロナ陽性者が希望すれば、療養施設に入れるよう施設を確保します。
④防災・防犯対策
大規模災害の教訓を踏まえ、防災計画・危機管理等の予算と人員体制を拡充するとともに、市民が安心して避難できるよう避難所の環境を改善します。また、防災体制の強化、流域治水策の推進、災害発生時の早期復旧・復興に必要な財政措置等を政府に強く要請します。
自治会が主体的に取り組む防犯対策を支援します。
4)「人々のつながり、コミュニティを大切にする」
①市民のつながりや支え合いを大切にする地域コミュニティづくり
地域の高齢化、貧困化により孤立する人々が増えていることから、校区や単位町会の自治会活動、見守り活動などを支援します。また中学校区単位で市民の学びと交流の場を設置するなど地域コミュニティづくりなど、「人と人とのつながり」を重視した施策を市民との協働ですすめます。
②こども食堂を通じたコミュニティづくり
子ども食堂は、すべての子どもが地域の幅広い世代とつながることができる場となっています。子ども食堂を全小学校区で開設し、地域のコミュニティの場、子どもの居場所づくりが継続できるよう財政支援を行います。
③高齢者の居場所づくり
認知症になっても高齢者が一人でも生きられる地域の福祉ネットワークを拡充します。
補聴器購入費の助成制度をつくります。難聴による日常生活への不便やコミュニケーション困難による孤立化を防ぎます。
④市長と話ができるタウンミーティングの実施
市民が市長と直接対話できる機会は、双方向の市政運営をすすめるために有効と考えます。自治会をはじめ、地域の皆さまにご理解とご協力をいただき、各地域でのタウンミーティングをすすめます。
5)「自然環境、歴史文化を守り、育て、活かす」
①豊かな農業(農業産出額府内1位)を守る
農業・農地の多面的公益性を踏まえ、農地を守ることを堺市の都市計画に位置付け、農業の担い手づくりを支援します。また、生産緑地などを活かした市民農園などを通じて「地産地消」「市民交流」を促進させます。小規模農家販売所などを拡充支援します。
里山を守る運動や市民菜園参加者、自然環境保全グループ等と連携・協力し、里山環境保全をすすめます。休耕田を利用した活用(例:春はレンゲ、秋はコスモス)をすすめます。
②「脱炭素」気候危機打開
脱炭素・気候危機打開に向けた取組みを、多くの市民、学生、グループ、団体、企業などが主体的に企画し、参加できる仕組みづくりをすすめます。
③徒歩や自転車で移動しやすいまち
自転車レーン整備や、安全安心、快適な歩道・歩行空間の整備をすすめます。特に喫緊の課題として、危険な通学路の状況を調査・公表し、学校や地元自治会・警察とも協議して横断歩道の改善、歩道の整備・拡幅、道路標識の改善、一方通行化、信号機の設置など、出来るところから危険を取り除きます。
シェアサイクポートの設置場所を拡充するとともに、半日券や一日券など柔軟な使用体系をつくり、日常的にも観光にも便利な制度にします。
④歴史文化を守り活かす
市民一人一人のくらしと人生、地域をゆたかにする「自由都市堺文化芸術まちづくり条例」の理念に立って、歴史・文化・芸術にふれる機会づくり、振興と、市民の学習・交流の場づくりを支援します。
図書館、博物館、公民館、児童館、文化施設などについて、市民と協働でつくる生涯学習施設として位置づけを明確にして専門職員(司書、学芸員、社会教育主事、児童厚生員)を適正に配置します。